居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除
こんにちは!
にこにこ税理士受験生です!
不動産を売却して利益が生じたときは、譲渡所得として所得税がかかります。
しかし、マイホームを売却した場合には、3000万円の特別控除を適用することができます。
※詳細は国税庁HP↓
つまり、利益が3000万円までであれば、譲渡所得の金額は0円として計算することとなります。
このことから、一般に「マイホームを売却した場合には税金がかからない」とか「3000万円までは無税」とか言われたりします。
この特例は、確定申告をしなければ適用できないものですので、売却をした年の翌年3月頃に税務署に対して確定申告書を提出する必要があります。
ところが、いざ確定申告書を作成してみたら、所得税の納税額が発生することがあるのです。
「合計所得金額」のワナ
この現象を理解するためには、所得税における「合計所得金額」を知る必要があります。
「合計所得金額」とは、要するに1年間のすべての所得の金額の合計額をいうわけですが、自宅を売却した場合の3000万円の控除を適用するときのポイントは、
「合計所得金額」については3000万円を控除する前の金額を使用する
ということです!
もし、自宅を売却した利益が1000万円であった場合、課税の対象となる譲渡所得の金額は0円なのですが、「合計所得金額」を算定する際にはそのまま1000万円が採用されるのです。
そしてこの「合計所得金額」がいくらなのかによって、税額計算にさまざまな影響が生じます。
所得税額の計算においては、いわゆる「所得制限」が設けられているものが多くあります。
たとえば、「合計所得金額」が1000万円を超えると、奥さんが専業主婦で所得が0であっても、「配偶者控除」を使うことができなくなります。
また、「合計所得金額」が500万円を超えると「ひとり親控除」も適用できなくなります。
さらに年金受給者の方の場合、「合計所得金額」が1000万円超か2000万円超か等で公的年金の所得金額も変動することとなります。
現行の所得税法では、この「合計所得金額」がいくらなのかによって、所得控除額などが連動する仕組みとなっています。
つまり、「合計所得金額」が大きくなればなるほど、よりいっそう高い所得税が生ずるように設計されているのです。
令和7年は基礎控除も
税制改正により、令和7年分の所得税においては基礎控除額が新しくなりました。
この基礎控除額も「合計所得金額」がいくらなのかによって段階的に変化していく仕組みです。
※詳細は国税庁HP↓
仮に、給与収入700万円の会社員(年末調整済)がマイホームを売却して利益が1000万円生じたとして計算してみましょう。
給与収入700万円であれば給与所得の金額は520万円となります。
給与所得の金額だけであれば、基礎控除額は63万円です。
マイホームを売却して生じた利益1000万円は、3000万円の特別控除を適用したとしても、「合計所得金額」を算定するときは特別控除前の1000万円を使用しますから、
520万円+1000万円=1520万円
が「合計所得金額」となります。
すると、基礎控除額は一段階下がり58万円となります。
所得控除額が63万円-58万円=5万円減少してしまうことになりますので、適用される所得税率が10%であれば、約5000円の所得税額が発生します。
もしこの会社員の方が、勤務先の年末調整で配偶者控除38万円の適用を受けていた場合も考えてみましょう。
今回の確定申告によって「合計所得金額」が1000万円超となってしまうため、配偶者控除は適用できなくなります。0円です!
そうなると、基礎控除の減少分5万円+配偶者控除の消滅分38万円=43万円の所得控除の金額が少なくなってしまいますから、
43万円×10%(所得税率)
=約43000円
の所得税が発生することになります!
マイホームを売却したときは無税と聞いていたのに、4万円も納税する必要があるなんて聞いていない!となってしまうのは、こんなワナがあるからなのです。
まとめ
不動産の営業マンなどに「マイホームを売却は3000万円までは税金かからないですから」と説明を受けたことがある人もいるでしょう。
この説明は、マイホームの売却利益だけの税金を考えれば、間違ってはいません。
しかし、「合計所得金額」が特別控除前の金額を採用していることから、連動して数万円の所得税が発生することがあります。
特に、基礎控除額の改正があった令和7年分においては、たとえ配偶者控除の適用がそもそもない、という会社員であっても、基礎控除額の減少により少なくとも1万円弱の納税額が生ずる可能性は大いにあるでしょう。
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