不動産所得は誰のもの?
こんにちは!
にこにこ税理士受験生です!
たとえば、父と子がそれぞれ1/2ずつの持分割合で登記をしている賃貸不動産がある場合に、高齢の父に代わって子が不動産を一括管理している、ということはよくあることでしょう。
子からすると、「賃料は自分の名義の口座に全額振り込まれるし、そのほかもろもろの管理は自分がしているから、全部を自分ひとりだけが確定申告すればいいのでは」というふうに考えがちです。
しかし、それは誤りです!
正しくは、
「持分割合に応じた不動産所得で父と子がそれぞれ確定申告する」
です!
貸付収入の基になっている不動産の所有権は、父1/2子1/2の割合で共有となっていることから、その不動産から得た利益は、父と子それぞれがそれぞれの割合で得たものである、というふうに考えるわけですね。
全体の決算書を作成する
確定申告の際のポイントは、
まず、全体(総額)の青色申告決算書(収支内訳書)を作成し、
その収入や経費の各項目の金額に持分割合(1/2)を乗じて得られた金額を使って、各人の決算書を再作成する、ということです。
そうすれば、きれいさっぱり、すべてを持分割合に応じた金額とすることができます。
ちなみに、青色申告をしている方は、持分が1/2だからといって、青色申告特別控除額が1/2になるわけではないので要注意です。
青色申告特別控除を引く前までのところの全体の決算書を作成して、持分割合に応じた各人の決算書を作成するときに、各人の決算書においてそれぞれ青色申告特別控除(10万など)を記載する、ということになります。
持分相当額なら申告義務がない場合もある
一般に、会社員の方(給与所得者)は、その年において給与所得以外の所得金額が20万円を超えると所得税の確定申告義務が生ずることとなります。
先の例でいくと、全体の決算書を作成して所得金額が38万円となった場合には、各人の1/2相当額の所得金額は19万円となりますから、もし子が会社員だとすれば20万円以下の基準に収まることから、所得税の申告義務はない、ということになります。
仮に、所得税率20%の会社員であれば、この19万円を申告してしまうと約38,000円の納税額が生することとなります。
でも、実際には申告義務はないため、わざわざ確定申告して支払う必要はないんです。
※住民税の申告は別途必要です。
このように、持分割合に応じた金額の申告をする、ということを知っていることで、無駄な支出をせずに済むこともあることでしょう。
お金も持分割合で要精算
所得税の確定申告は持分割合で作成するとしても、先の例でいけば、現実には子が賃料の全額を得ていて、そして固定資産税などの経費も子が負担している、というケースも多いでしょう。
このお金についても、持分割合で精算をする必要があります。
もし、代表者である子の口座において、年間の賃料300万円が振り込まれ、また諸経費60万円を支払っていた場合には、子は得た収入の1/2である150万円を父に、反対に父は諸経費の1/2である30万円を子に送金する必要がある、ということです。
相殺して、子が父に150万円-30万円=120万円を送金する、という方法もアリでしょう。
いずれにせよ、実際のお金についても持分割合に応じて精算をしていなければ、持分割合を超える部分について、実質的に贈与があったとみなされてしまう可能性があります。
先の例でいくと、精算をしていなければ、父が実質的に子へ年間120万円の贈与をした、というふうに考えられるわけです。
ある意味、120万円程度であれば、大きな問題にはならないかもしれません。
ですが、不動産賃料が全体で年間1000万円ほどになるようなケースでは、共有者間でお金の精算していないことによって、年間数百万円の実質的な贈与があったとして贈与税の無申告を税務署に指摘される可能性はあります。
特に、先の例でいけば、共有者である高齢の父が死亡し、相続税の申告をした場合などには、相続税と併せて過去の資金移動も確認されることでしょうから、なおさらリスクがあることでしょう。
まとめ
共有名義の不動産所得がある場合には、持分割合に応じた金額で各人が確定申告をすることとなります。
管理しているから、という理由で代表者だけが全額を確定申告することは誤った処理というだけでなく、申告義務がないのに納税をしていたり等、損をしてしまうこともあります。
また、得られるお金なども、持分割合に応じて精算をしておくことで、贈与税や相続税に関する税務リスクも抑えることができるでしょう。
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