消費税額の原則的な計算方法(一般課税)

 こんにちは! にこにこ税理士受験生です! 昨年、4度目の受験で税理士試験の消費税法に合格できました。

 今回は、令和7年分の確定申告を行う方に向けて、簡易課税税度と2割特例について書いてみようと思います。

 まず、そもそも納付する消費税額はどのように計算されるのか基本的な考え方をおさらいしておきましょう。

 納付する消費税額(10%)は、原則として、「売上高に含まれている消費税額」から「経費に含まれている消費税額」を差し引いた金額です。

 売上高880万円(税込)

 経費550万円(税込)

なのであれば、

 売上高に含まれる消費税額(10%分)

 → 880万円×10/110=80万円

 経費に含まれる消費税額(10%分) 

 → 550万円×10/110=50万円

ですから、納付する消費税額はざっと80万円-50万円=30万円 となります。

※実際の確定申告では、消費税(国税)の税率7.8%を計算してから、地方消費税2.2%を計算するという流れになっていますが、ここではイメージとして合計の税率10%を使用しています。

 この計算方法は、原則的な計算方法であり、「原則課税」や「一般課税」もしくは「本則計算」などと呼ばれます。ここでは、統一して「一般課税」と呼ぶことにしますね。

 簡易課税制度とは

 原則的な計算方法である一般課税に対して、簡易的な計算方法として「簡易課税制度」があります。

 簡易課税制度は、原則に対する特例的な計算方法ですから、大前提として事業者が自ら「適用をしたい」として管轄の税務署に届出書(「簡易課税制度選択届出書」)を提出している必要があります。

 ここ2年くらいの間に消費税の確定申告を初めてしたという事業者の方に誤解してほしくないのですが、この制度は消費税法が創設された平成元年当時から現在までずっと存在しているものです。

 では、ここで簡易課税制度における消費税の計算方法を見てみましょう。

 さきほどの一般課税では、「売上高に含まれている消費税額」から「経費に含まれている消費税額」を差し引いて納税額を計算しました。

 「簡易」課税というのですから、どこかが簡単になったわけですが、どこが簡単になったのかというと、ズバリ「経費に含まれている消費税額」の部分です!

 「経費に含まれている消費税額」を計算するときに、実際にかかった経費の金額ではなく、消費税法が決めた経費の金額を使う、ということになります。

 この「消費税法が決めた経費の金額」は、どのようにして決まるかと言うと、

 消費税法がこの世の中にあるすべてのビジネスをなんとたったの6種類に区分して、「この種類の仕事だったら売上高に対する○○%が経費になるよね」といって決めているのです。

 具体的には、6種類の区分とその「売上高に対する経費率」は次のように定められています。なお、この「売上高に対する経費率」のことを消費税法では「みなし仕入れ率」と呼んでいます。

 第一種事業(卸売業)・・・90%

 第二種事業(小売業)・・・80%

 第三種事業(製造業・建設業)・・・70%

 第四種事業(飲食店業その他の事業)・・・60%

 第五種事業(飲食店業以外のサービス業全般)・・・50%

 第六種事業(不動産貸付業)・・・40%

 こうやってみると、これらの経費率は、実態になるべく則して決められているように見えますよね。

 たとえば、雑貨屋さんが雑貨を仕入れてお客さんに販売しているような場合には、「小売業」になるわけですから、消費税法の簡易課税制度は、「仮に1,000円の商品が売れたとしたら、その商品にかかっている経費は1,000円×80%=800円なんですよね(反対にいえば、その商品が生み出す利益は1,000円×20%=200円)」というふうに考えているわけです。

 また、技術的なサービス、たとえばガス機器などの保守点検業であれば、「サービス業」に該当しますから、消費税法の簡易課税制度は、「仮に1万円の点検を行ったとしたら、その点検にかかっている経費は1万円×50%=5,000円なんですよね(その点検が生み出す利益は1万円×50%=5,000円)」というふうに考えているわけです。

 サービス業は基本的には仕入れる商品などがないわけですから、その分、売上高に対する経費の割合も小さい(=利益率が高い)ということですね。

 ここで、簡易課税制度における消費税の計算方法をまとめると、

 納付する消費税額(10%)は、「売上高に含まれている消費税額(A)」から「その消費税額(A)にみなし仕入れ率(経費率)を乗じて計算した金額」を差し引いた金額となります。

 仮に、製造業(第三種事業)の事業者の消費税額を計算することとした場合に、

 売上高880万円(税込)

 経費550万円(税込)

なのであれば、

 売上高に含まれる消費税額(10%分)

 → 880万円×10/110=80万円(A)

 この(A)にみなし仕入れ率(70%)を乗じて計算した金額

 → 80万円×70%=56万円

ですから、納付する消費税額はざっと80万円-56万円=24万円 となります!

 簡易課税制度の特徴は、「経費550万円(税込)」を計算に使わない、ということなんですね。

 いいかえれば、実際の経費にかかわらず、業種と売上高さえわかれば、納付する消費税額を計算できてしまう、ということです。

 こういった意味で、まさに「簡易」な計算方法というわけです。

 2割特例とは

 では、次に2割特例についてです。

 まず、知っておいてもらいたいのは、この2割特例というのは、簡易課税制度と異なり昔からあった制度ではなくて、令和5年10月から開始したインボイス制度の導入に伴って新たに創設されたものです。

 ですから、簡易課税制度が老舗ホテルだとしたら、2割特例は流行最先端のグランピング施設みたいなものです。

 そしてこの2割特例は、インボイス制度導入に伴ってインボイスの登録した事業者のうち、「もともと消費税の確定申告は不要だったのに、インボイスの登録をしたせいで消費税の確定申告が必要になってしまった!」という方に限定して適用ができる、という期間限定キャンペーンの制度となっています。

 ここで、2割特例における消費税の計算方法を見てみましょう。

 2割特例における納付する消費税額(10%)は、「売上高に含まれている消費税額(A)」から「その消費税額(A)に80%を乗じて計算した金額」を差し引いた金額となります。

 たとえば、製造業の事業者の消費税額を計算することとした場合に、

 売上高880万円(税込)

 経費550万円(税込)

なのであれば、

 売上高に含まれる消費税額(10%分)

 → 880万円×10/110=80万円(A)

 この(A)に80%を乗じて計算した金額

 → 80万円×80%=64万円

ですから、納付する消費税額はざっと80万円-64万円=16万円 となります!

 この2割特例というのは、計算の考え方は簡易課税制度とまったく同じですね。

 簡易課税制度は、実際の経費を使用しない代わりに「この世の中にあるすべてのビジネスをたったの6種類に区分」して簡単な計算方法を採用していますが、一方で2割特例は、いわば「この世の中にはビジネスがめちゃくちゃいっぱいあるけど区分するのが面倒なのでぜ~んぶ第二種事業(経費率80%)ってことにして計算しちゃおう」と言っているわけです。

 2割特例は超「簡易課税制度」とも言えそうですね。

簡易課税制度と2割特例は手続きが異なる

 計算方法はそっくりな簡易課税制度と2割特例ですが、ここで一度、2割特例の位置づけを示します。

 消費税法の計算方法には、

 一般課税

 簡易課税

 2割特例

 の3つがあります。

 誤解していただきたくないのは、さきほど2割特例がいわば「超:簡易課税制度」というふうにいいましたが、この2割特例は、「簡易課税制度のなかの特例」というわけではありません。

 2割特例は、いままで一般課税を採用している事業者でも、簡易課税制度を採用している事業者でも、いずれも適用することができます。

 つまり選択肢としては、

 ①一般課税 or 2割特例

 ②簡易課税 or 2割特例

ということとなります。

 さきほども記載しましたが、簡易課税制度を適用する事業者になるためには、どんなに遅くとも確定申告を行う年分(今回だと令和7年)の年末までに管轄の税務署に対して「簡易課税制度選択届出書」をあらかじめ提出しておかなければいけません。

 ちなみに、一度「簡易課税制度選択届出書」を提出すると適用をやめるための届出書を提出しない限り、継続してずっと適用されます。

 一方で、2割特例は、適用するために事前の届出書の提出は必要がなく、確定申告書に「適用したい」と「○」を付すことさえすればよいこととなっています。

 ですから、もし現在(令和8年2月)、消費税の確定申告書を作成しようとしている方がいたとしたら、まず、あなたは現時点で「一般課税」の事業者か「簡易課税」の事業者のいずれかに必ず該当することとなります。

 そして、その上で(つまり「一般課税」用の確定申告書か「簡易課税」用の確定申告書のいずれか該当する方を用意して)、さらに2割特例を適用するのかどうかを決めていく、ということになります。

 これまでに「簡易課税制度選択届出書」を提出したことがある人は、簡易課税用の確定申告書を用いて、簡易課税制度における消費税額と2割特例における消費税額のいずれか有利なほうを選択することができます。

 一方、これまでに「簡易課税制度選択届出書」を提出したことがない人は、一般課税用の確定申告書を用いて、一般課税における消費税額と2割特例における消費税額のいずれか有利なほうを選択することができます。

 なお、簡易課税制度の適用を受けようとする方は、原則として、適用を受けようとする年分になる前(令和7年分で適用をうけたいときは令和6年12月31日)までに届出書を提出しておかなければいけません。

 しかしながら、インボイス制度導入に伴う経過措置として、前回の確定申告(現時点からすると令和6年分確定申告)で2割特例の適用を受けた事業者に限って、2割特例の適用を受けた年分(令和6年分)の翌年の年末(=令和7年12月31日)までに届出書を提出していれば、今回の確定申告(令和7年分確定申告)で簡易課税制度の適用を受けることができることとされています。

 もし、現在(令和8年2月)、令和7年分の消費税の確定申告書を作成しようとしている人がいるとしたら、その人が令和6年分の確定申告で2割特例の適用を受けており、かつ、令和7年12月31日までに「簡易課税制度選択届出書」を管轄の税務署に提出している場合には、今回の確定申告では簡易課税用の確定申告書を用いて、簡易課税か2割特例のいずれかを選択適用することができる、ということになります。

 まとめ

 2割特例は、計算方法こそ簡易課税制度と同じですが、その位置づけは大きく異なります。

 今回は、混同されがちな2割特例と簡易課税制度の違いについて書いてみました。

 確定申告を作成するどなたかのお役に立てたのであればうれしいです。

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管理人はとちゃん

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