事業収入に給与収入を含めていませんか
こんにちは!
にこにこ税理士受験生です!
開業して3年目未満の個人事業主の方は、年の途中まで会社員だったとか、事業収入が未だ少なくて生活のためにアルバイトをした、といったこともあるでしょう。
今回は、給与収入と事業収入の両方がある場合に、確定申告でありがちな誤った処理をご紹介します。
それはズバリ、
「事業収入」に「給与収入」を含めてしまう、という処理です!
これは特に、開業とともに会計ソフトを導入した個人事業主に多い誤りです。
会計ソフトでは、通帳の口座登録・連携をして帳簿を作成することが多いと思います。
このとき、その口座に給与収入が振り込まれた場合に、事業収入と同様に「売上」として記帳してしまうことにより容易に起こりうる誤りです。
また、会計ソフトを導入していなくても、これまでずっと会社員であったため税務署に対する確定申告の経験が一切ない方は、雇用契約に基づく給与収入と自営業の事業収入を区別する考え方がそもそもない場合も見受けられます。
その結果、給与収入も事業収入に含めて青色申告決算書(収支内訳書)を作成してしまっていることがあります。
青色申告をする人は、事業の収入や経費について、「青色申告決算書」という書類を作成します。
一方、青色申告をしない人(白色申告者)は、事業の収入や経費について「収支内訳書」という書類を作成します。
この青色申告決算書や収支内訳書に記載した事業収入と事業所得の金額を、「確定申告書」に転記することとなります。
ところで、給与収入は、青色申告決算書や収支内訳書とは関係のないものですから、「確定申告書」にいきなり「給与収入」(給与所得)として記載するものです。
給与収入については、勤務先から発行される「給与所得の源泉徴収票」さえあれば確定申告書に記載(入力)することはできますから、特に集計作業などが生ずるものではありません。
事業用の口座に給与収入が振り込まれているときは、
普通預金○○円/事業主借○○円
の仕訳処理をすればOKです!
決して、
普通預金○○円/売上○○円
と処理してはいけません!
給与収入を事業収入に含めるとどうなる?
給与収入を誤って事業収入(「売上」)として処理してしまうと、当然ながら青色申告決算書又は収支内訳書の「売上」の金額が本来よりも多く計上されます。
しばしばありがちなのが、給与収入を事業収入に含めてしまっている上に、同じ給与収入をさらに「確定申告書」にも記載(入力)している、という事態です。
こうなると、給与収入を、「事業収入」としても「給与収入」としても二重に申告していることになるため、本来よりも過大な所得金額となることでしょう。
もし「給与収入を事業収入に含めてしまっていても、自分は給与収入を別で二重に申告しているような状態にはなっていないから、問題ないのでは?」と考える方がいたとしたら、それもマズイです。
理由は2つあります。
1つ目です。
給与収入からは「給与所得控除」と呼ばれる経費相当額の金額を無条件に差し引けるようになっています。
事業収入に給与収入を含めてしまうと、「給与所得控除」が適用されないため、事業の経費の多寡にもよりますが、一般的には損をする可能性が高いです。
次に二つ目です。
給与収入を事業収入に含めて「確定申告書」を作成すると、当然ながら確定申告書には「事業」の収入と所得の金額だけが記載されることになります。
確定申告書は税務署に提出すると、その内容はお住いの市町村へ通知されます。
市町村は、税務署に提出された確定申告書と市町村が自ら収集した収入に関する資料を併せて住民税を計算し本人に通知することとなります。
この「市町村が自ら収集した収入に関する資料」とは、主に給与収入の情報をいいます。
市町村は「確定申告書」に記載された「事業収入」にまさか「給与収入」が含まれているものとは微塵も思っていないわけです。
ということは、市町村は「こちらで把握したところによればこの住人は給与収入があったという情報があるけれど、税務署に提出された確定申告書には事業収入だけが記載されているから、住民税はこの2つの情報を合算して計算しないといけないね」というふうに考えることとなります。
つまり、住民税の計算において、「給与収入が含まれた事業収入」と「給与収入」が合算されることにより、給与収入が二重に計上され過大な住民税が課せられてしまう可能性があります。
いずれにせよ、給与収入を誤って事業収入に含めてしまう処理は、不利益を被るリスクが高いので、開業して間もない個人事業主の方は特に気をつけましょう!
消費税「基準期間における課税売上高」に給与収入を含めていませんか?
消費税の確定申告では、「基準期間における課税売上高」という用語を理解しておく必要があります。
これは、端的に言うと「2年前の売上金額」を意味します。
インボイスの登録をした方は「2割特例」を適用できるかどうか、インボイスの登録をしていない方は、そもそも消費税の申告義務があるかどうか、といった判定をするために必要な金額です。
たとえば、令和7年分の消費税の確定申告の義務があるかどうかは、令和5年分の課税売上高が1000万円超であるかどうかで判定します。
仮に令和5年3月まで給与収入が300万円あり、令和5年4月から12月までの事業収入が900万円であった場合には、課税売上高はいくらになるでしょうか?
そうです、900万円です!
しばしば、「基準期間における課税売上高」を考えるときに、「給与収入も含めるのだろう」と考える個人事業主の方がいるようですが、それは誤りです。
消費税における「課税売上高」とは事業者としての収入だけに限定されているため、給与収入というものは一切登場しません。
ここを誤って給与収入+事業収入=1000万円超として考えてしまうと、申告義務がないのに消費税の納税をしてしまったり、2割特例を適用できるのに「適用できない」と思い込んだりする事態になってしまいます。
「基準期間における課税売上高」には給与収入は含まれません!
しっかりと覚えておきましょう!
※ちなみに、2年前は1年間ずっと会社員であったという場合には、消費税の確定申告書の「基準期間における課税売上高」欄は「0」を記載(入力)すればOKです。
まとめ
一般に、個人事業主であっても収入のことを「給料」と言うことがあろうかと思いますが、税法上は「給与」と「事業」はまったく別モノです。
給与収入と事業収入を取り違えて処理してしまうのは、中華料理屋で「ラーメン」と「チャーハン」を間違えるくらいのとんでもない違いです。
この二つをしっかりと区別しないままでいると、思わぬ不利益を被る場合も大いに想定されますから、特に開業3年目未満の個人事業主の方は気をつけて確定申告をしましょう!
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