基礎知識

 こんにちは! にこにこ税理士受験生です。

 さて、いよいよ確定申告の時期ですね。

 税理士試験の消費税法を4回受験してついに昨年合格を果たした私が、令和7年分の消費税の確定申告に関して特に注意が必要なことについて書いてみようと思います。

 消費税の確定申告書を作成する際に、最初に「基準期間における課税売上高」を申告書作成システムなどに入力する必要がある場合があります。

 これはいったい何でしょうか?

 結論からすると、2年前(令和5年)の売上高のことです!

 ご存じの人も多いと思いますが、そもそも消費税は、売上高が1,000万円を超えた年の2年後の年に納税義務(申告義務)が生ずる、という制度になっています。

 たとえば、令和2年分の売上高が1200万円であれば、令和4年分は申告義務があります。

 令和3年分の売上高が850万円であれば、令和5年分が仮に売上2000万円であっても申告義務はありません。

 インボイス制度導入後

 ところが、令和5年10月からインボイス制度が導入されました。

 これにより、インボイスの登録をした事業者(適格請求書発行事業者)は、2年前の売上高が1,000万円を超えるかどうかにかかわらず、納税義務者になることとなりました。

 仮に、毎年売上高が200万円であっても、インボイスの登録をした事業者は消費税の確定申告をする必要があるわけですね。

 2割特例が適用できるかどうかの判定に使われる

 インボイス制度の導入にあたって「2割特例」というものが作られました。

 これは、売上高に含まれる消費税額のうち20%に相当する金額を納税額としてOKというものです。

 たとえば、令和7年分の売上高が1,650万円(税込)であったとしたら、1,650万円に含まれる消費税及び地方消費税(10%)は150万円です。

 そして納税額は、この150万円の2割(20%)である30万円となります。

 ただし、この2割特例は、「インボイス制度導入前であれば、2年前の売上高が1,000万円以下であるために消費税の納税義務者にならずに済んでいたのに、インボイス登録したせいで納税義務者になってしまった!」という事業者に限って適用することができる、というルールになっています。

 つまり、2年前の売上高=「基準期間における課税売上高」が1,000万円以下である場合に限って2割特例を適用することができる、ということです(※ほかにも細かい要件がありますが省略しています)。

 消費税の申告作成の際に、「基準期間における課税売上高」の入力が求められるのは、インボイス登録をした事業者が「2割特例を適用できるかどうか」を判定するためなのです。

 令和7年分確定申告の注意点!

 では、この「基準期間における課税売上高」(=2年前の売上高)は、税抜価額でしょうか、それとも税込価額でしょうか?

 答えは、「場合による」です!

 たとえば、令和5年分の消費税の確定申告を作成するとき、令和3年に消費税の納税義務者であった(=令和1年分の売上高が1000万円超)のであれば、

 令和5年分の「基準期間における課税売上高」(令和3年分の売上高)は税抜価額となります。

 この場合、令和3年分の消費税の確定申告書を見れば、税抜の売上金額が記載されていますら、その金額が令和5年分の「基準期間における課税売上高」となります。

 反対に、令和3年が消費税の納税義務者でなかった(=確定申告の必要がなかった)のであれば、令和5年分の「基準期間における課税売上高」(令和3年分の売上高)は税込価額となります。 

 では、いよいよ令和7年分の注意点です。

 令和7年分の「基準期間における課税売上高」(令和5年分の売上高)を考えるとき、例にならって令和5年が納税義務者であったか(令和5年分の消費税の確定申告をしたかどうか)を確認しましょう。

 ここで問題は、「令和5年」はインボイス制度導入の年ということです。

 令和5年10月から始まりました。

 もし、あなたが令和5年10月からインボイス登録をした個人事業者であれば、

 令和5年分の消費税の確定申告書では、インボイス登録を開始した日から令和5年末までの期間(たいていは3か月間)の売上高に基づいて消費税の納税額を計算していたはずです。

 つまり、令和5年に限っては、令和5年1月1日~9月30日の間は納税義務者ではなく、令和5年10月1日~12月31日の間だけ納税義務者であった、という状態であったことが大いに考えられます。

 この場合、1/1~9/30の売上高は「税込価額」、10/1~12/31の売上高は「税抜価額」、それらを合算した金額が令和7年分の「基準期間における課税売上高」となる、ということになります。

 具体的な数字で考えてみましょう。

 令和5年分の各月ごとの売上高(税込)を納税義務者でなかった期間と納税義務者であった期間にわけてそれぞれを集計した結果、

 納税義務者でなかった期間(1月~9月) 売上高合計 7,900,000円

 納税義務者であった期間(10月~12月) 売上高合計 2,200,000円

 となったときには、10月~12月の220万円についてだけ税抜処理をするため、

 令和7年分の「基準期間における課税売上高」は、

  790万円

+200万円(←220万円×100/110

990万円 となり、

 1,000万円を超えていないので、令和7年分の確定申告では「2割特例」を適用することができます

 もし、インボイスの登録が令和5年11月からだったよ、という方であれば、「1月~10月」と「11月~12月」にわけて同じように計算すればOKです。

 今の事例で、仮に10月~12月分の売上高を税抜処理しなければ、合計は1,010万円となるため「2割特例」が使えないという誤った判定結果になってしまいます。

 2割特例の判定を正しく行うためには、いまお伝えした計算の考え方が非常に重要ということがわかりますね。

 まとめ

 2割特例は、小規模な事業者にとって有利に働く場合が多いですが、

 令和7年分の消費税の確定申告では、その適用の判定に用いられる「基準期間における課税売上高」を正しく理解していなければ、思いがけず損をしてしまう場合もあります。

 ちなみに2割特例は、一度適用せずに申告して申告期限を過ぎてしまうともうやり直しはできません

 特に令和5年分の売上高がほぼ1000万円くらいの人は、今日お話しした「税込」と「税抜」の点に注意して、2割特例が適用できるかどうか慎重に検討していきましょう。

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