2割特例はいつまで?

 こんにちは! にこにこ税理士受験生です!

 今回は、インボイス制度導入(令和5年10月1日)に伴い設けられた2割特例が終了した後、消費税の確定申告がどうなるのか簡単に書いてみたいと思います。

 ※この記事では、個人事業主の方を対象に説明をしております。

 まず、2割特例とは、「もともとは消費税の確定申告をする必要がなかったのに、インボイス登録をしたせいで消費税の確定申告が必要になってしまった!」という方に限って適用ができる消費税額の簡便な計算方法のことをいいます。

 納付する消費税額等(10%分)=(税込の売上高×10/110)×20%

 という算式で表現することができます。

 売上高(税込)が990万円であれば、(990万円×10/110)×20%=18万円が納税額ということになりますね。

 こちらの2割特例は「令和8年9月30日を含む課税期間」を最後に終了することとなっています。

 ところで、この「令和8年9月30日を含む課税期間」とは、個人事業主にとっては具体的にいつのことを指すのでしょうか?

 答えは令和8年(令和8年1月1日~令和8年12月31日)を言います!

 「課税期間」とは、確定申告の集計単位といったような意味ですが、個人事業主の方にとっては、暦年(1月1日~12月31日)を意味します。

 そして、消費税法によくあるのですが、この「○月○日を含む課税期間」という言い回しは、「○月○日を含む1月1日~12月31日」というふうに読めばOKです。

 つまり「令和8年9月30日を含む課税期間」とは、「令和8年1月1日~令和8年12月31日」のことを意味しているのです。

 しばしば、「2割特例が令和8年9月末で終わる」というふうに誤解されるのですが、違います!

 令和8年12月31日分まで適用可能です!

 ※このような回りくどい言い回しになっているのは、個人と異なって法人は決算期を自由に設定できることと、消費税法においては課税期間を三月ごと等に短縮することができるため、一概にズバリの月日で表現することができないからと考えられます。

 したがって、個人事業主の方は、令和8年分までの消費税の確定申告について、2割特例を適用することができます。

 令和9年から「3割特例」になる

 2026年度税制改正大綱によれば、令和9年と令和10年については、これまでの「2割特例」から「3割特例」に移行することとされています。

 さきほどの具体例からすると、

 売上高(税込)が990万円であれば、(990万円×10/110)×30%=27万円が納税額ということになります。

 2割特例の場合は納税額18万円だったのが3割特例になると納税額27万円となるので、結構なインパクトですよね。

 そして、ここでお伝えしたいのは、3割特例になって単純に納税額が増加するよということではなくて、今一度、2割特例や3割特例を選択しない方法で納税額がいくらになるのかの検討を試みるべきである、ということです。

 インボイス登録とともに消費税の確定申告を開始した売上高1,000万円以下の個人事業主の方のなかには、「2割特例しか知らない」といった人も少なからずいるように思います。

 消費税の計算方法には、もともと、一般課税と呼ばれる計算方法と簡易課税と呼ばれる計算方法の2種類がありますから、これらについてある程度の知識を得ておきましょう。

 一般課税

 原則的な計算方法で、実際の経費の金額を基礎として納税税額を計算するものです!

 もし、将来令和9年分の決算書を作成したときに、売上高に対する経費の割合が70%を超えているようであれば、3割特例ではなく一般課税を選択したほうが納税額が少なくて済むことになります。

 ただし、注意点として、決算書の経費のすべてが消費税法上の経費(これを「課税仕入れ」といいます)となるわけではありません。

 消費税が課税されていないようなもの、たとえば租税公課や損害保険料、減価償却費などは経費になりませんので、これらを除いたところで売上高に対する経費の割合を検討する必要があります。

 また、消費税法には「減価償却」という考え方がないため、車などの減価償却資産をその年に購入したとしたら、その購入金額の全額を消費税法上の経費として計上することとなります!

 この場合は、消費税法上の経費の金額が極端に多額になることが考えられるので、納税額がかなり小さくなったり、結果として納税額が生じないということもあります。

 もし、100万円以上するような事業用の車両や設備などを購入したのであれば、その年の消費税の確定申告では3割(2割)特例ではなく、一般課税を選択したほうが納税額を抑えることができる可能性が高いでしょう。

 簡易課税

 簡易課税は、実際の経費の金額を無視したうえで、事業の種類によって定められた概算の経費率を使用して、納税額を計算する方法です!

 なお、適用を受けるためにはあらかじめ届出書を管轄の税務署に提出しておく必要があります。

 令和8年分まで適用できる2割特例は、要するに売上高に対する経費の割合を80%であると仮定した場合に計算される金額を納税額することとしてOKというものです。

 これは、簡易課税制度における第二種事業(小売業)に適用される「みなし仕入れ率」80%を適用した計算方法とまったく同じですということになりますね。

 もし簡易課税の届出書を提出済の小売業(第2種事業)を営む方が、将来令和9年分の確定申告において、うっかり3割特例を適用してしまったとしたら、これは明らかに損です。

 反対に、飲食店業(第四種事業:みなし仕入れ率60%)やサービス業(第五種事業:みなし仕入れ率50%)を営む方は、令和9年分の確定申告においては簡易課税ではなく3割特例を適用したほうがお得、ということになります!

 ちなみに、簡易課税や2(3)割特例を適用した場合には、経費に相当する金額が売上高を超えることは絶対にないので、事業の収支が仮に赤字であったとしても、消費税の納税額は生じてしまうこととなります。一般課税であれば、事業の収支が赤字であるときは、たいていの場合消費税の納税額は生じません(還付となります)。

 簡易課税制度選択届出書の提出期限

 もし令和8年分以降の確定申告で簡易課税制度を適用したい場合には、簡易課税制度選択届出書はいつまでに提出する必要があるでしょうか?

 実は、令和7年分の確定申告で「2割特例」を適用したかどうかによって、その提出期限が違います!

 令和7年分の確定申告で「2割特例」を適用して計算した場合には、令和8年12月31日までに、簡易課税制度選択届出書を税務署に提出すれば、次回の令和8年分の確定申告で簡易課税か2割特例のいずれか有利なほうを選択することができます。

 一方、令和7年分の確定申告で「2割特例」を適用して計算しなかった(できなかった)場合には、令和8年12月31日までに簡易課税制度選択届出書を税務署に提出したとしても、簡易課税制度を適用できるのは次回の令和8年分ではなく次々回の令和9年分の確定申告からになるのです。

 このように「2割特例」を適用したかどうかで、簡易課税制度選択届出書の提出期限(効力が生ずる年分)は異なることとなるわけですね。

 まとめ

 消費税法は年々複雑になってきており、一般課税、簡易課税、2割特例(令和9年分以降は「3割特例」)と3つの計算方式が併存している状態です。

 消費税は計算方法によっては、いとも簡単に多額になることがあります。

 しかも、これら計算方法は、一度選択して確定申告をした場合には、申告期限後に別の計算方法に変更してやりなおすことはできません。

 2割特例から3割特例へ移行することが税制改正で明らかになった今年のうちに、令和8年分以降の消費税申告について今一度理解を深めて、自分にぴったりの計算方法を検討してみましょう!

 基準期間の課税売上高がわからない

 簡易課税制度と2割特例の違い 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

投稿者

管理人はとちゃん

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